ネットでのトラブル

Q1 先日、交際中のAさんと観光地に旅行に行ったところ、私達と全く関係ないBさんが撮影して風景の写真としてブログに掲載したものに私達が写り込んでしまっていました。それを私の友人が見てしまい、私とAさんが交際していることが友人に知られてしまいました。私はブログ作成者のBさんに対して損害賠償等の請求ができるのでしょうか。私は特に有名人ではないので、そういう権利はないのでしょうか。

(答)微妙なところですが、金額は多くないかもしれませんが、損害賠償請求が裁判で認められる可能性はあると思います。最高裁判所平成17年11月10日判決は次の趣旨のことを言っています。

(1)人はみだりに自己の容ぼう、姿態を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有している。

(2)人を承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは、いろいろな事情を総合考慮して、被撮影者の人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである。

(3)人は自己の容ぼう、姿態を描写したイラスト画についてみだりに公表されない人格的利益を有する。

 つまり人は誰も、勝手に写真撮影等されない権利があるし、イラストですら勝手に公表されない権利があるということです。特に有名人に限られる権利ではありません。

 東京のファッションを紹介するために、公道を歩いていた人の写真を無断で撮影し、ネットに掲載したことについて、35万円の損害賠償請求が認容された判決例もあります(東京地方裁判所平成17年9月27日判決)。あなたについても損害賠償請求は認められる可能性があると思います。しかし、十分に裁判所の判断が固まっているとは言えません。このような裁判例もありますので、ご質問とは逆ですが、ネットに写真を公開するときは、関係ない人が写らないように工夫し、写っていれば誰か分からないように画像加工しておくよう注意してください。

Q2 私は会社を経営していますが、ネット上の掲示板に、私の会社の名前を具体的に書いて「詐欺をしている」と書かれてしまい、経営に差し支えています。なんとかならないのでしょうか。

(答)現在では、多くの掲示板が、問題のある発言について管理者に削除を求める方法を定めて公表しています。まず、この方法で削除を求めてみてください。ほとんど削除してくれます。発言した者に対しては名誉毀損や業務妨害による損害賠償請求等の法的責任の追及が可能ですが、発言者が誰か調査する必要があります。この点については、プロバイダーに照会して回答してもらうことが一般的ですが、こちらは技術的にもなかなか大変です。プロバイダー責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)という法律がありますが、これは、プロバイダーにこのような照会に対する回答を義務付ける法律ではなく、回答してもプロバイダー等が発言者に対して責任を負わない場合があるようにした法律です。そのような法律しかないため、回答が得られず、発言者が解明できないこともあります。

 しかし、実際に発言者が分かれば、損害賠償等の法的責任の追及は可能ですし、実際に追及されています。

 ご質問とは逆ですが「どうせ分からない」などと安易に考えて、ネット上で無責任な発言をすることは厳重に慎んでください。

Q3 ちょっと恥ずかしいのですが、いやらしい画面を見ていたら、突然「あなたは契約したので10万円払ってください。支払い方法は××に電話してください。」という画面が出て、どうやっても消えなくなりました。指定の番号に電話したところ、コンビニ決済を指示されました。払ったら消し方を教えてくれるというのです。恥ずかしくて、知り合いには相談できません。どうしたら良いのでしょうか。

(答)「恥ずかしい」というのが問題で、実はこのような迷惑画面は特に恥ずかしいことをしていなくても突然出てくることがあります。私も知り合いの弁護士の電話番号を調べようとして名前を検索していたら、「セキュリティの緊急警告 windowsセキュリテイ・アンチウイルスサービスエラーが発生しました。フリーダイヤル××のカスタマーサポートサービスにお電話ください」という趣旨の真っ赤なメッセージが出て、画面を覆ってしまい、一切操作ができなくなったことがあります。ウイルスに感染したと思い、驚きました。画面が指定しているフリーダイヤルに電話したら、たどたどしい日本語でコンピューターの操作を指示し始めたので、おかしいと思って電話を切り、いつも頼んでいる専門業者に相談したところ、この画面はインターネットの広告の原理で作られているもので、この時点では当方のコンピューターには何の影響もないものだということでした。簡単にこの画面を削除し正常に戻してくれました。こういう変な画面が出たら、コンピューターの操作をせず、コンピューターの専門家に相談するべきです。ただ、その時聞いたところでは、スマートフォン等を使って、問題の画面に出ているメッセージの言葉を打ち込んで検索すれば、ほとんどの場合、対応方法がネットに出ているそうです。まず検索し、信用できる提供元の情報に従って駆除するべきだというアドバイスをもらいました。変な画面の指示や電話先の指示に従ってコンピューターの操作をしては絶対にいけないということでした。

 自分は「承諾する」という操作をしたから、法的にお金を払う義務があるのではないかと思っておられるかもしれません。しかし、「電子消費者契約法(電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律)」という法律があり、思い違いがあれば、仮にあなたに過失があっても契約は無効とされていますから支払い義務はありません。お金を払ってしまったら、お金を取った人が誰かなかなか分からないので、取り戻すことは困難です。お金を払う前に消費生活センターや弁護士に必ず相談してください。