Q1 当社ではホームページの作成を外注しようと思っています。注意すべきことはどんなことですか。
(答)どんなページを作り、どんな機能をもたせるのか具体的に決めないまま作成作業をしてしまったため、ホームページ作成作業が完成したのかどうか分からないというトラブルを多く聞きます。ホームページの作成依頼は、契約の類型で言えば「請負」にあたります。請負は、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」(民法632条)とされていますので、完成するべき仕事の内容をきちんと取り決めておく必要があります。検索機能を持たせるのでしょうか。どんな検索をするのでしょうか。他者のホームページとの間でリンクは張るのでしょうか。リンクを張ることの承諾は御社と受注者のどちらが取るのでしょうか。「常識的な仕事」が確立していない分野ですから、作成するページの内容や機能を取り決めて発注しないと、完成したかしないか分からないことになります。御社は作って欲しい内容を具体的に業者に伝え、業者の側も、丁寧に発注者の希望する内容や機能を確認し、できないものはできないと明確に説明するべきです。発注者・受注者双方とも「分かったつもり」で注文しないことが非常に大切です。
Q2 ホームページの作成後の維持管理についても先の業者に依頼するつもりですが、注意すべきことは何でしょうか。
(答)維持管理の面では、業者がすることと、発注者が自分ですることの「業務分担」を明確に取り決めておく必要があります。「業者がホームページを書き換えてくれない」という相談があります。しかし、①原稿は御社が渡してそれをそのまま使ってもらう場合、②書き換える内容は御社が示して、ページは業者に作ってもらう場合、③そもそもホームページは御社が自分で書き換え、大きな全体のデザインだけ業者が書き換える場合、と少し考えても3種類の業務分担のパターンが考えられます。それ以外にもいろいろな分担のバリエーションがあるでしょう。例えば、あなたは②だと考え、受注者は③だと思っていると、当然紛争になります。御社も受注者に「何をしてくれるのか」徹底的に質問するべきですし、受注者の側も発注者に十分説明して協議していただきたいと思います。
Q3 ホームページに写真を掲載したいのですが、何か問題がありますか。
(答)自分で撮影した写真か他人が撮影した写真か・風景や建物及び屋外の銅像等なのか人物なのかで扱いが違いますので、簡単に分類して説明します。
(1)自分で撮影した風景や建物の写真(人物は写り込んでいないもの)
ア 風景を自分で撮影しても特に誰の権利の侵害にもなりませんから、これをホームページに掲載しても問題ありません。
イ 建物及び屋外の銅像等については、著作権法46条で写真に撮影して公表することは著作権侵害にはならないとされていますのでホームページに掲載することは著作権侵害にはなりません。
ウ ただし、何にでも例外はあります。風景でも建物でも、人の感情を害するような写真をあえて撮影したり合成した場合、人格権侵害というような問題が生じることはあると思います。
(2)自分で撮影した人物の写真については、芸能人等有名人については、「売り物である自分の肖像を守る権利」として「パブリシティー権」があるとされていますので被写体の承諾なく掲載してはいけません。
一般の人についても、「自分のことを他人に知られない権利」としてプライバシー権や「自分の肖像を勝手に利用されない」肖像権があると考えられています。被写体の承諾なく掲載してはいけません。承諾なく掲載すると差し止め請求や、損害賠償請求を受けることがあるので、注意してください。
(3)風景の中に人物が写ってしまった場合については、人物が誰か分からない写真なら風景の一部と考えて良いと思いますが、人が特定できるなら、画像処理で誰か分からないようにするか、写った人の承諾を得るかしてください。一旦ネットに出てしまった画像は、どう利用されるか分かりませんし、それを抹消できるとは限りませんので、細心の注意をしていただきたいと思います。
(4)他人が撮影した写真を利用するには、第一に撮影した人の許諾が必要です。さらにその写真に人物が写っていたら、その人の許諾が必要です。他人が撮影した写真には原則として撮影者の著作権が発生していると考えて、勝手に使用しないよう注意してください。ポスター等印刷物に、他のホームページに掲載されている写真を許可なく使用してしまったため、ポスター自体の回収・廃棄をすることになってしまったという事例は実際に多いですよ!
Q4 当社のホームページに他のホームページ等の記事を引用して掲載したいのですが、問題になることはありますか。
(答)「引用」というのは、他人の著作物であることを明示して、あくまでも自分のものが主であるという程度を超えず、出典を明示する等著作権法の要件を満たして行う行為です。この要件を満たしていれば、「引用」として著作者の許可なく掲載することができますが、要件が厳しいので慎重に行ってください。「コピペ」と称して、他人の著作物をあたかも自分のもののように掲載する人がおられますが、これは「引用」ではないので、著作権法にそもそも違反しますから、許されません。ご自分のホームページの価値を高めるためにもコピペはやめていただきたいと思います。